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執筆者の写真玲子 福谷

シチリアハーブ農家さんを訪ねてAzienda Agricola Aromi di Sicilia


シチリア (シラクーサ近郊)

自然の農法でハーブや野菜を育てていらっしゃいます。

古代の言葉や太鼓、薬草、神話、迷信、古代の民間療法、古代シチリアの童謡などを自然の中で、歌い楽器を奏で日々暮らしておられます。

感覚農業劇場、わら劇場を作っておられてそこで洗濯場で口伝えで伝わった歌などを披露し、今回訪問させていただいた時も共に演奏をご一緒させていただいました。


シラクーサとカターニャの学校や様々な協会とともに、リトリート活動をされています。

アメリカからは農法学びに来る留学生を受け入れることもされています。


シチリアは外国からの侵略を繰り返し受け、最初はギリシャから始まってローマやトルコの侵略など。シチリア人はそのたびに試練から受けた悲劇をこういう音楽や踊りで喜劇に変え、今まで生き延びてこれたと語っておられました。




この写真と上記の写真は、奥様が手作りでピアスやブレスレットをオリーブの枝で器用に作ってくださいました。


ハーブは全部近くの山に自生しているもので、それを持ち帰り畑に植え付けます。

畑の仕事がなかったりできなかったりするときは、海に泳ぎに行ったり自然に触れることで生活をエンジョイされていると楽しそうにお話しするご主人。


奥様のBurigidaさんはシチリアでも奏でることができる方がほぼいない笛を吹かれたり、ギターを弾かれたりと、自然と共生する暮らしを楽しんでおられます。





シチリアのタンバリンを使って、お客様と一緒に演奏することで来られた方共一体感になることができると笑顔で語るご主人。

このご夫妻が育てられた植物は、本当の自然農法で肥料や土の改良は行わず全て自然に任せ、病気になったら自分で植物が立ち上がってくるのを見守る。

実際訪れた時もペパーミントが枯れかけていて、自浄力で立ち直るのを見守られている状態でした。

シチリアは乾燥がひどく、昨年は50度を超える日があり町中の電気がシャットダウンすることが起きたそうです。シチリアはエトナ山という活火山があり今でも活動しています。

暑さで山火事が起こることもあり、国力としてそんなに豊かな国ではありません。

ですが、街の方も村の方も本当に人生を楽しんでいるという活気を感じることができ、人間くささを身近に感じました。


その活火山から出た溶岩でできた大地はミネラルが豊富で、作物は味の濃い力強いものがたくさんあります。

今回の農家さんは、ハーブや野菜の農家さんだったので、力強い香りのオレガノ(Origanum vulgare)、ヘリクリサム(helichrysum italicum) などたくさんのハーブ、そしてシチリアのペッパー、ピンクペッパーなど興味深いハーブをご紹介いただきました。


ルータ Ruta graveolens

ミカン科 ヘンルーダ属

古くは衣類の防虫、魔除け、料理やお酒の香りづけなどに使われた。

  • 女性に良いハーブとされていて、身体の毒排出に香りをまとわせて外出していた

  • 1日マックス30枚。

  • デーツと胡桃を混ぜ合わせて食べていた。目にも良いとされる

  • ネズミなどの害虫予防。猫避けとしても。

ヘリクリサム 太陽と金  Helichrysum italicum  キク科

  • ここでは石鹸を作っている。リコリスとオリーブオイルとヘリクリサムで熟成させて。

  • 力強い香り、カレーのような香辛料の香り。

  • マッサージをする時、30日間乾燥させてチンキにしたものを使う。痛み取りに使う。抗炎症、鎮静作用

フェンネル Foeniculum voulgare  セリ科 ウイキョウ属

  • これを冠にして戦争に行く旦那様の無事を祈って作ってあげていた。勇気を与えるもの。

  • リラックス、頭痛、お腹痛に使う。

  • 香りが強い

  • イタリアでは、ずる賢いという意味にも使われるそう。おかまというスラングにもなっている。

  • フェンネルは白い根を食用として食べるのですが、それはこのフェンネルとは違う種類のものです。

ネペタ Nepeta  シソ科 イヌハッカ族

  • 痛み止め、解熱剤として使う。

  • お湯の中に入れて、足をつけて解熱する。

  • 虫もこれを求めて群がり、自分の傷を治す。

  • アーモンドペーストと混ぜてパスタにする。キャットミントとも呼ぶ。

ウチワサボテン  Opuntioideae  サボテン科 亜科

  • 人生を教えてくれる植物。ウチワサボテンとは嵐の後には平和が訪れる。トルコ人がシチリア人を殺すために植えた。がこのサボテンが、火傷を治し鉄分補給に使い身体を治した。

  • 真っ赤に熟した実を食べる。血中の脂質の酸化を防ぎ血管を若々しく保ってくれる。浮腫予防。




イナゴ豆 Cetatonia siliqua  マメ科 ジャケツイバラ亜科

  • 8月の末に茶色になって、さやごと焼いて食べる。粉にして使うことも。懐かしい味。

  • カラット(carat)はギリシャ語、ここからダイヤモンドのカラットの数え方になったとか。

  • 貧乏人のチョコレートと呼ばれ、栄養価が高い。


ミント、ピックペッパー、ローリエ、ペンタのハーブティー

疲労回復、清熱、などの効能があるそうです、でもそんなことより暑い外から家に入った途端涼しいと感じ、ハーブティーをいただいた時の生き返る感じは効能よりも互換で幸福感を噛み締めました。


奥様の手作りケーキ、アーモンドをたっぷりと使った素朴なケーキでしたが、アーモンドはシチリアの名産。食感と甘味と旨味がとっても美味しくてお代わりさせていただきました。


日本の農家さんでもそうですが、ほぼ自給自足の生活をされている農家さんは日々の過酷な農作業を感じさせない笑顔で迎えてくださいます。

その笑顔の裏には、さまざまな思いや感情がおありなのですが、自然を相手にされて生活をされていると、抗うことより受け入れてその中でどのように生きていくことが一番大切に人生を生きていくことができるか、人間としての原点を見せてもらうような気がします。


帰り際に、私なりにお礼の気持ちを表すために作った日本の文化の折形ののし袋をお渡ししました。

とっても喜んでくださって、大事にしますねとおっしゃってくださいました。

日本の相手に心を表す文化、異国でも伝わって嬉しかったです。




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